DEPPA少年の日記

某テレビ局の会社員。27歳。「小説だからこそ本当のことを書ける」という小説家の言葉を参考に、あえて匿名でブログを書いています。28歳の誕生日までのカウントダウン方式を採用。

377日(インターネットから秘密基地が消えた日)

「インターネットには秘密基地がもうなくなった」

そんなことを聞いた。どのニュースに対してのコメントかはわからないが、なんとなく、言わんとすることはわかる。自分の身内だけに対して書いていたもの、つまりクローズドの空間と認識していても、実は筒抜けで、まったくの他者によってパブリックなものとなる。ネット上には、プライベートとパブリックの明確の境界があると思いきや、いまや前提がパブリック空間となっている。

先の方は、90年代のこじんまりしたネット空間の話もしていた。いまや存在しないサービスでも「2ちゃんねる」のような当時先がけのようなクローズ感のあるウェブのおもちゃは、ポコポコと生まれては消えを繰り返していたと。

いまやデバイス、通信環境、サービス、そしてネット人口の爆発と飽和。すべてが可視化される時代。大人の言っていることなので確かかわからないが、いまの中高生たちは、大事なことはLINEではなく、電話をするようになっていると。1対1のやりとりでも、画面をキャプチャして、出回ってしまうおそれがあるからだという。

発言が消える機能、残らない、見えないなど、すべて可視化された前提のなかで、どのようにクローズ感を演出すること(つまり秘密基地だ)が、ウェブSNS等のサービス開発のテーマになってきそうだ。いや、とっくになっているか。「写るんです」が再評価されるように、アナログ回帰も反動して必ず起こってくる。

ウェブ、SNSをデジタル/電話、紙をアナログと分けたとして、すべてのデジタルシフトは不可能だ。たとえば本。どんなに出版業界が厳しいと言われていても、個が大事と言われるいまの時代、本を出すことはステータスとされている。いや出版不況と言われるなかで「本を出す」というそのものに価値が出る。そこをおさえているのが編集者のオグラリュウジさんだったりするわけで。

美容院もそうだ。ぼくはdマガジンの台頭をみて、これからの美容院は紙の雑誌一式から、iPad等の端末にほとんど切り替わってしまうとさえ思っていた。シフトすればこんなメリットがあると思ってた。

まず、お店の方は、お客さん人それぞれの席に置く雑誌をそれなりに考えている。とくに女性の場合、デリケートだったりするようだ。そこでdマガジンの入っているiPadが一台あれば、お客さんに好きな雑誌を選んでもらえばよくなる。さらに金額のコスト面。定期購読をやめてしまえば、初期で発生する端末コストもやがて減価償却できてしまう。けれど、相変わらず紙は健在だ。紙で読みたい人がやっぱりいる。

最近感じるのは手紙のポテンシャル。これもなくなることはない前提で、再評価というか、いまだからこその新しい価値をつくれる気がしている。