DEPPA少年の日記

某テレビ局の会社員。27歳。「小説だからこそ本当のことを書ける」という小説家の言葉を参考に、あえて匿名でブログを書いています。28歳の誕生日までのカウントダウン方式を採用。

モチベーションを考えてみる。

いきなりですが、岸勇希さんをご存知でしょうか。

電通時代にコミュニケーション・デザインという言葉、概念をつくり、著書も出されてます。2017年刻キタルという新しい会社を立ち上げます。運よくセミナーに参加をしたことがあって、そこでおっしゃっていた「モチベーション」の話が印象に残っていました。

そんな矢先、先日クラシコムの青木さんと岸さんの対談記事があがっていて、そこでもモチベーションの話を丁寧にしてくださっていたので、関連する箇所を一部抜粋。

・モチベーションは、人類がコントロールすべき最大のエネルギーだと思っています。それは水素や太陽光や火力と同じ、エネルギーなんです。ただ、見えないから観察が難しい。

 

・敵の、モチベーションを奪うこと。どんな強い敵も、戦うモチベーションそのものを奪うことができれば、そもそも戦いさえも起こらないわけです。

 

・モチベーションは、与えるよりも、奪う方が容易だということです。もう少し付け足すと、すぐ奪われてしまう弱いものだということです。

 

・奪うと与える、モチベーションをより適切にデザインできれば、今まで解決し得なかったことも、山ほど解決するのではないかと思いました。

 

・そんな気づきをもって、自分の過去の仕事を振り返ると、意識こそしていなかったものの、モチベーションをデザインしようとしていたものが多々ありました。

 

・モチベーションのデザインに関しては、色々ありますが、現時点でひとつ言えることは、モチベーションはそもそも奪われやすいものなので、与える設計よりも、奪っているものを排除することへのアプローチを第一にしたほうが、効果が出やすいということです。

kurashicom.jp

 

岸さんは、会社組織のなかで奪っているモチベーションを排除し、その設計をデザインすると言っている。広告よりも経営の領域に近くなる。なるほど。ぼくがとくに膝を打ったのは、なかでも最初の部分。「モチベーションはコントロールすべきの最大エネルギーであり、観察がむつかしい」。まさにそうだと思うんです。

本について書いたエントリーで、出版社のある知り合いとご飯を食べていると、毎回オススメされて本を買ってしまうことを述べた。言ってみれば、本屋では見ても素通りしていた本を、知り合いによってモチベーションをデザインされ、ぼくはその本をすぐに買い、すぐに読むのである。

ここに本があるとする。分厚い本。小山薫堂さんが「お厚いのお好き?」というほどの。仮に小室直樹の「論理の方法―社会科学のためのモデル 」を、偶然もらったとしましょう。読んだらためになるのだろうけど、ふつうは「ぜひ読みたい!」と行動に移すほど思うことはないはずです。

では客観的にどうやったらこの本を「いま読みたい!」と思わせるモチベーションをデザインすることができるのだろうと、ふと考えることがあるんです。ある人には、小室直樹の輝かしい経歴を伝えることが有効かもしれないし、落語が好きな人には、立川談志との交流エピソードが効果てきめんかもしれない。

広告の世界ではある商品を「買う!」というモチベーションを煽るために、手段として広告があります。キャッチとなるコピーを敷いたり、ストーリーや意味付けをしたり。ぼくが思うのは、たとえば買った後の「積ん読」の状態であるとか、もらった後とか、「購買活動」を排除した上で、そのコンテンツを消費するためのモチベーションのデザインに、実は需要があるんじゃないかなって思っているんです。

購買のその先。おそらく趣味とか自己投資とかの領域。もしかしたら誰かのためになり、ビジネスになるのかなって考えています。

たとえばぼくは、ジャズについて深く知りたいと思っている。「ブルージャイアント」という漫画や大橋巨泉の本、ジャズの歴史について書かれた漫画、タモリさんとマイケル・デイビスの対談、エンタメきっかけで、本当にちょこっとだけ知っている。すでに何冊かの本とCDを持っているわけです。

そのうえで、「あなたはジャズとどう向き合って、どういう状態になりたいのか」。ここをもう少し言語化して、そうあるべき姿になるために、モチベーションをつけてくれる。モチベーションをお金で買う、というのは言い過ぎですが、ヒントはあると思います。

ライザップは「結果にコミットする」というワードを生んでいまや多角的な事業に参入しています。モチベーションに焦点を当てたときに、きっと見えてくることがあります。またじっくり考えてみたい。


引き続き、よろしくどうぞ!