253日(ロイヤルカスタマーを考える)
カラオケの鉄人が月額のプランを始めたらしい。
サブスクリプションのサービスである。お客さんに都度きていただいて、リピーターになってほしい。そうするために企業は、ポイント制度など工夫をこらしてマーケティング活動をする。そのなかで、毎回きていただくことを考えるよりも、定額制を企画することは、けっしておかしな話ではない。
むしろ一周回って、サブスクリプション型のサービスが増えているといってもいい。美容院、カフェ、家具など、定額制で一律の料金をいただくことで顧客を囲い込み、一定の収入を担保するような仕組みだ。たしかにある程度、再訪(サービス利用)する顧客であれば、いつでも利用できるという「状態」に対して価値を見出すわけだ。そうして月額という固定金額を毎月で支払ってもらうカタチの方が合理的であろう。
メーカーは基本として、一つの商品に対して、販売することで、その対価を得ていく仕組み。ただ、そのなかで「たまたま購入した顧客」よりも、意図があって「何回も繰り返してその商品を買ってくれるファン」を大事にしたい。つまり、ロイヤルカスタマーの発想である。
ロイヤルカスタマーとは、一般的なメーカーの商材の場合、購入頻度×購入単価でおおよその、その顧客が生み出す価値が見えてくる。LTVなどのマーケティング用語があるが、一般的なメーカーにおいては、ファンの可視化は購入に紐づくので顧客理解がしやすいという特徴がある。
さあ、サブスクリプションにおいて、ロイヤルカスタマーをどう考えるか。ここはいろいろとおもしろい領域なのだ。なぜかというと、マーケティングの先行事例において、基本としては、月額の会員制ビジネスおいては、事例がほとんどないからである。
会員制のビジネスにおいてどこにリリースをかけるかというと、入り口と出口にかけがちである。つまり、いかにして入会してもらえるか。または、いかにして解約せずに継続をしてもらえるか。そのロジックをベースにすると、どれくらいサービスを利用しているか、どれだけ継続期間があるか。このような定量的なデータに依存しやすい。
ではどれだけ、自社のサービスを他人にオススメできるかという視点もあるが、その気持ちもよくわかる。おそらく定性的な要素を加味しないと、ロイヤルカスタマーをあぶりだすことはむずかしいだろう。
いま企業のなかで、共に創る消費者パートナーつまり「共創」という概念が、事業計画などの資料で出がちである。一緒につくっていくとは、何なのか。消費者がプロ化している。つまりプロコンシューマーという存在が出始めている。
サブスクリプションにおいて、何を考えるか。消費者の動態について考えるのは、それは大事だが、同時に、その顧客は何に対してお金を払っているか。ここを突き詰めて考えることが重要な気がしている。サブスクリプション型サービスにおける、ロイヤルカスタマーの可視化。いろんなサービスで、それぞれどう考えているか、非常に興味がある。