DEPPA少年の日記

某テレビ局の会社員。27歳。「小説だからこそ本当のことを書ける」という小説家の言葉を参考に、あえて匿名でブログを書いています。28歳の誕生日までのカウントダウン方式を採用。

269日(声を可視化させることを考える)

一億総ツッコミ時代とはマキタスポーツさんの言葉だ。

SNSの台頭によって、誰もが発信できることになった世の中。どうやらベタな対象にツッコミを入れる=マウントを取ろうとするスタンスを選ぶ人が多いようだ。

ポジティブな面を見れば「一億総表現時代」でもある。素人でもnoteを使って表現し、そこにファンがつけば、とくに事務所などに所属しなくとも「プロ」になることはあり得る。そういったサービスやクリエイターと個人をつながげるプラットフォームが増えてきている。


世の中一般の声を可視化して集約するビジネスでいえば、SHOW ROOMなどのアイドルへの応援を可視化するプラットフォームがあれば、クラウドファウンディングなんてものもある。最近、おもしろいなあと感じたサービスが「ドリパス」と「復刊ドットコム」である。

「ドリパス」は映画のチケットの共同購入プラットフォームである。リクエストのある作品が一定数集まり、さらに実際に映画館へ行くファンのチケット購入が一定に達せれば、上映イベントが実行されるというもの。つまり劇場側の損は限りなくない仕組みになっている。ドリパス自体は、顧客の購入チケットの手数料が儲けであり、マッチングのハブとなる仲介ビジネスとなる。

「復刊ドットコム」は絶版となっている書籍を復刊させるビジネスである。リクエストの数が高いものから編集部が出版社へアプローチをかけ、可能なものを書籍化する。お固い専門書よりも、ゲームや漫画、イラストなどの書籍に反響があるようだ。

仮にこれらを「可視化集約型ビジネス」と名付けたとしてメリットをカンタンに整理しておきたい。まず一つが、リクエスト前提とすることでインタラクティブな関係を顧客と築くことができる。ただものを売るだけではなかなかむずかしい局面もある。

もう一つは、そのリクエストの声がマーケィングに応用できるということ。サービス自体がうまく回れば、膨大なデータが手に入る。そこに質が担保されていれば貴重なデータとなり、それ自体に価値が出る。データマーケティングとして売る発想もあるだろうし、コンサルなんて領域も出てくるだろう。

そしてマーケティングに通ずるが、一定の声を集約したところで販売等のアクションに移すため、「えいや」のビジネスよりもリスクを回避することができる。大きな失敗がなかなか出ない。ただその一方で、声を集約するのに相対的に工数が多く時間がかかるため、世の中へ対するインパクトは薄くなりやすい。まあこの辺りは考えようだ。

重要なのは、何にお金を払っているかということ。絶版の本を、新しく出版して「紙として読む体験」に人は価値を感じてお金を払う。ふつうは劇場では観られない作品を、その作品のファンが集まってチケットを買って「一緒に鑑賞するという体験」に人は対価を払うわけである。

絶版の書籍、いま劇場にかかっていない映画。要するにクラウドファウンディングの発想なのだが、そこからあえてはずしたところにヒントがある気もしている。これ以外にも「可視化集約ビジネス」で成立するものはありそうだ。