DEPPA少年の日記

某テレビ局の会社員。27歳。「小説だからこそ本当のことを書ける」という小説家の言葉を参考に、あえて匿名でブログを書いています。28歳の誕生日までのカウントダウン方式を採用。

270日(「ありがとう品川」にシビれた)

アメトークを久びさに観てシビれた。

出川哲朗「おれは品川のスケジュールを真っ黒にしたい。あれほどの実力のあって笑いにできる品川が10連休はありえない。おれは実力がある人が正当な評価をテレビで受けていないことがもどかしい。正当な評価を受けてほしい、それだけ」

順を追って。まずふだん、スルーとしてしまいがちな企画プレゼン大会。芸人が各自企画を持ち寄ってプレゼンをする。視聴者投票を通じて選ばれた企画は実際にオンエアされる。実はこのプレゼン企画自体、インタラクティブな参加型のつくり方ができるフォーマットとして優れている。

リクエストの数や意見でそれ自体がプロモーションになるし、声の可視化としてマーケティングにもなる。そして若手の芸人のチャンスの場としても機能している。芸人にとってもうれしい機会となわるけである。加地さん恐るべしともいうべきか。

さて若手芸人が一通りプレゼンを終えた後、出川哲朗の出番だ!ひとしきり滑舌などのいじり後、出川さんは品川庄司の品川さんに関する企画をプレゼンする。「ありがとう品川」。ただこれだけだと何のことかわからない。

以前、東野幸治さんの持ち込みで「どうした品川」という先行した企画がある。まず品川氏がいまテレビにおいてどういう立ち位置にいるか。かんたんに振り返ってみたい。

00年代、品川庄司の品川氏がとがっていた時代があった。「品庄内閣」という冠番組があり、オンエアバトルで実力を見せる。M-1決勝にも上がった。「ココリコミラクルタイプ」などのコント番組にも出演。いわゆる売れっ子になった。映画監督などの活躍もご存知の通りだ。

詳しくは知らない。当時、スタッフに対してあたりの強い態度やふるまいが少なからずあったという。そのときアシスタントディレクター(AD)だった方たちが出世した。そのスタッフの方々にとって、品川氏の印象はよくはない人もいるようだ。それゆえにバラエティ番組において腕があってもなかなか起用がされにくいという状況が起き得る。

本人も自虐的に認め、態度やふるまいをただすようになった。東野さんとしては当時の刺があった品川氏に戻ってほしい。そんな鼓舞とエールをいじりとして「どうした品川」として放送をしたわけである。反響もあった。しかし状況は、大きくは変わってはいないそうだ。

その流れを汲んだ上での「ありがとう品川」。出川さんいわく、品川氏の腕の良さは折り紙付きだという。たすけられている芸人もたくさんいる。たとえばロッチ中岡だ。バラエティ番組で不安になっている中岡をマネージャーがこうアドバイスする。「品川さんがいるので安心です、大丈夫です!」。他事務所の芸人のマネージャーがこうまで信頼している方はなかなかいないという。

そして出川さんの冒頭のセリフがくる。「おれは品川のスケジュールを真っ黒にしたい。あれほどの実力のあって笑いにできる品川が10連休はありえない。おれは実力がある人が正当な評価をテレビで受けていないことがもどかしい。正当な評価を受けてほしい、それだけ」。

出川さんの人の良さがプレゼントを通じてにじみ出しており、等身大で「心からそう想っている」という熱があった。ネットを見てみるとたしかに反響があったようだ。視聴者の心を動かしていて、もしかすると企画としても実現されそうな勢いだ。

ぼくは出川さんの熱にグッときた。そして考えた。ここまで感情移入できるのは、10年以上もテレビを観ていて、おしゃクソ事変などリアルタイムで目撃してきたこともあるけれど、構造としてそこに普遍性があるからじゃないかって思った。

実力はあるけれど刺がある。たとえば実力があるけれど、上司にはまらない部下。コーチに好かれなくてスタメンからはずれてしまう野球選手。実力に対する正当評価に「人間関係」が介在することによって、複雑性を帯びることはよくある話。

では自分はどの立場でいたいかである。少なからず、実力のある人を正当に評価してあげる環境づくるに貢献したいと思う。ぼくは出川さんの気持ちを持っていたい。生意気だから気に入らないとして評価をしないのはダサい。価値観に反する。(もちろんテレビのキャスティングにはいろんな事情があるのは置いておいて、一般的に。)

しかし人はみんなそうじゃない。いろんな考え方がある。人間関係を避けて通ることはできない。それを実力のうちといえば、そうだ。だからこそ、間に入ってほぐしてあげる人間が必要で、そういう人に価値がある。ぼくはそう思う。お笑い界でいえば出川さんなんて、まさにそんな存在なのだろう。そして同時に品川さんのように、プレイヤーでありたい。Twitterを見たら、やる気がみなぎっていた。熱の火を絶やさぬように。