DEPPA少年の日記

某テレビ局の会社員。27歳。「小説だからこそ本当のことを書ける」という小説家の言葉を参考に、あえて匿名でブログを書いています。28歳の誕生日までのカウントダウン方式を採用。

281日(はじめてのプロレス体験)

プロレスとはエンタメの凝縮

初DDT。新木場1stringの21時。予定の試合がすべて終わると男色ディーノの記者会見がはじまった。ぼくはそのとき、プロレスにはエンタメがギュッと詰まっていると感じた。会見は試合前に予告されており、男色ディーノという存在感の色が強い選手が宣言をしていた。そして当日、試合後に記者会見。実はその内容が「あいさつ回り」をするという内容なのだが、じつはそれが路上プロレスであり、その告知となっている。

試合では若手の団体内トーナメントが行われており、優勝者には特典が贈られた。その内容とは、箱の大きい会場での試合なのである。選手へのご褒美が、さらなる高みを目指すための試合であり、目撃した観客は次回への興味をグイッと惹かれる。そうして物語のなかに観客自身が組み込まれてゆき、ファンが育っていく仕組みなのだ。ドラマでいうところのクリフハンガーの手法が、巧妙に設計されていると感じた。

 Abema TVの意義

DDTの試合がAbema TVで放送されていることにも触れなければならない。選手であり、大社長。稀有な実業家である高木三四郎は、サイバーエージェントに籍を置いている。要するに、配信の提供の座組みをつくったというわけなのだが、どの立場をとっても正解だと思う。くやしいくらい。

ファンの立場からしても、プロレスを盛り上げるという意味で、Abema TVが配信することに反対する人はいないはずである。こういうジャンルは、配信だとしても専門チャンネルなどでタコツボ化しやすいところを、受け皿としてAbema TVが機能することは好ましい。

「プ女子」というファンの存在

一冊、ファンのプ女子によるエッセイを事前に読んでおいたが、まさにその通りの光景をみることができた。ファンはお目当ての選手が登場すると、用意してきた紙テープをリング内に投げる。選手のカラーに合わせた紙テープになっていること、やはり人気選手にはそのぶん紙テープもたくさん投げられる。ある意味、人気のバロメーターになっているのは初心者でも理解できるのでおもしろい。

エッセイによれば、紙テープはファンのお手製だ。プロ野球とちがって私設応援団のような組織はない。あくまでファン個々人が主体と見受けられた。すこし観察してみると、投げる方はほとんど女性だった。選手もファンサービスなど趣向を凝らしている。

試合終了後、会場を出ると選手みずから物販をおこなっていた。なるほど、アイドルとしてのプロレスという見方も十分できそうだ。いずれにせよ、今回でわかったことは、観ないとわからない領域が確実にあるということだ。