DEPPA少年の日記

某テレビ局の会社員。27歳。「小説だからこそ本当のことを書ける」という小説家の言葉を参考に、あえて匿名でブログを書いています。28歳の誕生日までのカウントダウン方式を採用。

398日

むずかしいテーマを考えてみる。ずばり「いいカフェとはなにか」。まずなぜこんなばくっとした問いを立てるか。それは番組の企画で5〜11月までで200店舗のカフェを巡ってきたから。半年でそれなりのインプットがあった。WEB企画として写真とちょっとしたコメントを公式Twitterアカウントを通じてアウトプットはしていた。その上で、もうすこし本質にせまるようなアウトプットもしていきたという思いに至った。

たしかに感じること。半年前と比べるとカフェを自分が見る「視点」が増えた気がする。たとえば細かいところでいうと、おしぼりが渡されるのか。それが袋に入っているかどうか、またウェットペーパーなのか、そのペーパーの厚みはどうか。立てかけの紙を適宜使うタイプなのか。ここだけでもお店によってさまざまだ。視点はこれまでもあるのだけど、意識がされていなかった。意識とは、過去とのちがいを知覚すること、要は比較から芽生えている。

自分がどのようなところを知覚したのか。ここから思い出す作業になる。記憶をたどると印象に残っているのが「人」なのである。マスター、店員さん。パッと顔が浮かぶ方が何人かいる。

たとえば白金台のクロミミラパン。朝一にうかがってお客はぼくひとり。かるく会話を交わし、ぼくのコーヒーへの興味を感じたマスターは、コーヒートークをじっくり聴かせてくれた。「日本でかなわないと思った焙煎士は2人だけ。三田のダフニと銀座のカフェドランブル」。もちろん情報もそうなのだけど、マスターのコーヒー好きがお店ににじみ出て、温かい、いい空間をつくり出してくれていた。

店員さんもそうだ。ぼくは200店舗を巡る中で一つ絶対のルールを設けていた。それは毎回ちがうお店にすること。つまり、毎回が「イチゲンさん」になるということ。行く前に調べて、「これは常連さんでにぎわっているところ」という印象を持つお店もある。スナックでもあるまいし、割り切っていた。そこでお店には毎回「はじめてうかがいました」から入る。正直に伝えていた。

おもしろいもので、後から「いいな」と思うカフェは、その入りの後「ありがとうございます、初めてでしたら〜」とオススメの話が自然に始まっていた。もちろんお店のスタンスで、静かにサーヴすることを流儀としているお店もあるわけで、一概にはいえない。ただマッキー牧元さんは「オススメを聴かれたときに、さっと答えてくれる店員さんのいるお店は間違いない」そんなことを以前言っていた。一理あるだろうと思う。

店員さんに関しては教育という観点もあるけれど、一番素敵なのは店員さんがそのお店を好きであるということ。これはお客の自分にも「好き」は伝わってくるもの。ここが大きいと感じる。そして実はお客さんにも同じことがいえると考えている。つまり、その空間にいるお客さんが、そのお店のことを好意的に感じていて、居心地よく過ごしている様が、お店そのものに好影響を及ぼしている。お客さんがカフェをつくる一部であることは間違いない。

このコードというか居心地のよさの正体をまた考えていきたい。一つここでいえるのは、ぼくにとっていいカフェを思考する要素として、コーヒー単体はそこまで優先度が高くないということ。あくまでぼくにとってだけど。人が好きというものあるだろうし。「自分なり」が前提となるが、このテーマは、引き続き考えていこう。