DEPPA少年の日記

某テレビ局の会社員。27歳。「小説だからこそ本当のことを書ける」という小説家の言葉を参考に、あえて匿名でブログを書いています。28歳の誕生日までのカウントダウン方式を採用。

415日

自分の「いい!」と思った対象を世に広めること、ここを考えている。
最近、戦前に活躍した音楽家を知った。その名は大澤壽人。ピアノ協奏曲(kamikaze)の第2部。ジャズ調からはじまるこのパートがすばらしいなあと。ぜひ聴いてもらいたい。

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もともとクラシック音楽について「なぜ日本の方の名前が出てこないのだろう」と思っていた。先日偶然、本屋で手に取ったのが「天才作曲家 大澤嘉人」だった。現代の日本においてなぜかその名が忘れ去られてしまっている。

「再評価」とかそういうところだろう。ここには「いまこそこの魅力を伝えたい」という誰かの意思が働いていることが多い。つまり、誰かが「いい!」と思わなければ、埋もれたままなのだ。ぼく自身、この曲を聴いて「いい!」という直感があったので、周囲にいま教えているところ。

こういう埋もれている魅力を伝える姿勢が好きだ。考えてみれば、美術ではよくある話。伊藤若冲はいまや美術展が大人気を誇るが、どうやらここ40〜50年で一般的に知られるようになったそうだ。評論家や研究者の方が「いい!」と見つけて、それが運動となり、テレビが取り上げる、そんな流れは容易に想像がつく。ここでいう評論家の一次情報にどんどん近づいていきたい。自分が埋もれている魅力の原石を見つけるように。

自分のこの好奇心について考えると、実は普遍的なものだった。極端だけど、ホストクラブに通うお客さんが、自分が目をかけている方にNo.1になってもらいたい想う気持ちと遠からずだと思っている。それはつまり、自分の「いい!」がメジャーになる快感というか。対象者が世に知れ渡ることで、応援する側の承認欲求が満たされるのだ。ぼくはこれを「自分の世界観の肯定」と呼んでいる。

もちろん自分を満たすためがすべてではなくて、純粋にその対象者のためであったり、対象の魅力が伝わって多くの人が幸せなれる貢献であったり、誰かのためになる。口コミって本来そういうことだ。

発掘するのがタレントなら芸能事務所になるし、モノならメーカーの企業になるかもしれない。仕組み化するから会社となるのであって、実は世の中、自分の「いい!」を広めたいという動機からはじまっている物事が多いのかもしれない。

たくさんの人に自分が「いい!」と思った魅力を知ってほしい、ぼくの場合はそこに文化的な意味合いをのせたいと考えるタイプ。独りよがりで押しつけにならぬように。でも「誰かのためじゃないと人は動けない」という言葉があるように、大半は純粋な気持から生まれている気がする。情報洪水の時代、だからこそ「これ!」を見つけたときは、それそれはうれしいもの。この好奇心の芽は絶やさないようにしたい。