初心者のためのインタビュー記事 編集講座
インタビューサイトを主宰しています。
趣味で始めていますが、所属の会社公認で行っています。大きな意味では趣味のため、誰を取材するかを決めて、何から何まで自分ひとりで決めていきます。おもしろさはもちろんあって、難しさも当然あるわけです。
自己流の部分が大きいものの、これまで2年ほど続けてきて見えてきたことがあります。というのもウェブで検索しても、なかなかインタビューの編集手法って出てこないんですよね。いろんなタイプがあって正解がないというのもあると思いますが。
というわけで、どのように進めてきたかをかんたんに述べていきたいます。(一応匿名ブログなのでここにはサイト名が書けないのが残念ではあります。サイトに名前が載っているため)
1.キャスティング
「この人に話を聞きたいな」ってなるわけですね。すでに知っている方もいれば、初めましての方もいるでしょう。その方との関係値によって依頼の仕方も変わってきます。誰がどういう目的で依頼するのかってことですね。たとえば同じ矢沢永吉さんに取材依頼するのも、CINRAの場合と、ほぼ日の糸井重里さんの場合では、それはちがうでしょう。(どっちがどっちというわけでなく)
あなたがメインで進めるのなら、取材依頼書の共通フォーマットは持っていた方が良いでしょう。一つおさえておきたいのが企業務めの方への取材です。本人が快諾しても、広報や人事部門を通じて正式に許諾をいただかないと成立しないことが多いです。その場合、取材内容が掲載されるメディアはどこが運用しているかという点も大事になりますね。要は、信用の問題です。
あとそうそう、謝礼(ギャランティ)にもいろんな考え方があると思っています。ぼくの主宰しているサイトでは原則、謝礼はなしでお願いしています。後述する取材場所への交通費程度にお茶代をごちそうする程度です。これはインタビューサイトそのもののコンセプトに関わってくる重要な部分です。
ちなみにぼくのインタビューサイトは、その人のもう一枚の名刺をつくるというコンセプトのもとで活動をしています。つまり、双方のメリットが確保されないかぎり取材はしません。WIN-WINであり、PVを稼ぎたいから取材させてほしいということもありません。その意味で、広告の枠を設けていません。なので、謝礼は支払っていません。
2.取材
それでは取材をしていきましょう。場所としては会社の会議室などの個室がとれればベストですが、先方の都合もあってカフェなどの場合もありますね。当たり前ですが、録音する前提ですし、お店は落ちついたところを選びたいところです。イスも深く座れた方がリラックスしてお話ができますよね。対象者と物理的な距離があまりない方が個人としては、やりやすいです。
雑談からお話していくわけですが、対象者によっては事前質問を気にされる方がいます。自分の頭のなかで言語化して臨んできていただいた方がいいこともありますし、そもそもどんな質問をされるのか不安な方もいます。質問する側としても流れは意識すべきですし、事前質問は用意しておきましょう。ただし、どうしても聞きたい代表的な質問数個で問題ないと思います。多く用意しすぎて一問一答のようになってしまうと、その場でスウィングしないおそれもあります。
予定調和にはしたくない。現場だからこそ生まれたこぼれ話とか、そういった意図した偶然が出るよう、雰囲気をつくることも大切です。「出たとこ勝負」までいかなくとも、流れ程度にして、会話を楽しむくらいことがちょうどいいです。「編集でどうにかなるんで」と言って、相手も自分もリラックスさせましょう。
あ!ボイスレコーダーを忘れずに!録音忘れがいちばんキツいもの。ぼくの場合は、ボイスレコーダーとiphoneの録音機能のダブルで万が一に備えています。iphoneのものでも性能は十分ですが、ボイスレコーダーは倍速をいじれる、ノイズカット機能など、それなりにあった方がいいですよ。
3.カメラ撮影
取材が終わってから「あっ撮影わすれた!」となってしまわぬように。ひとりで全部こなすと、取材終わりに話している風のカットを撮るということになってきます。もし、アシスタントというかカメラマンとして手伝っていただける方がいればぜひお願いしてください。話をしている相手の生のかんじを写真におさめるといいです。
そのインタビュー記事の方針によりますが、角度をつけていろんな表情をおさえておくと、後の編集の際に写真によって記事をより印象づけることが可能となります。また、お店で撮影するときは許可を撮った上で、他のお客さんの迷惑にならぬよう気をつけて進めましょう。
4.書き起こし
無事に取材を終えました。ボイスレコーダーを使って書き起こしをまずしていきましょう。正直、かなり時間を要します。方法としてたとえばクラウドワークスなどを利用して、いわゆるアウトソーシング(外注)も可能です。
しかし、ぼくは自分で書き起こすことにこだわってきました。ちょっとしたニュアンスを書き起こしの過程から拾っていくわけです。記事にしたときになんかイマイチ伝わらないなあとならないようにするためです。記事のなかにわからない用語や意味は、絶対にないようにします。自分がわからないことを記事にしない、これは鉄則です。
もちろんお仕事でどうしても時間が間に合わないという場合には、アウトソーシングして合理的に進めていく必要があるでしょう。これもケースバイケースです。
5.編集
書き起こしをしたら編集をしていきましょう。この作業によって、文章を読み物にしていきます。話のつながりがずっとあれば、書き起こしした時系列に沿って、文章を置いていくといいでしょう。
ただし、会話は不完全なものです。編集のなかで「この話はもっと前のブロックに入れてあげよう」と思えばそうするべきです。センスという考え方もありますが、たしかに毎回勝負なので、これっていう教科書はないと思います。ただやるのみ。経験と、その後の反響や読者の感想を通じて、磨いていくしかないでしょう。
ぼくの場合は、全体を俯瞰しながら話を、ある程度のブロックに分けていきます。一つのボリューム感のバランスを取りながら分けられたところで、そこに見出しをつけていきます。ワンテーマがものすごく長くなってしまったとしても寄りでぐーっと見れば、切れ目を入れられる箇所がきっとあるはずです。
構成はそんなイメージ。インタビューの場合はだいたいが口語調になりますよね。ぼくはこの口語調つまり話し言葉が好きでして、意識をして編集をしています。個人の考え方ですが、話し言葉の方が断然わかりやすく、記事としても読みやすい。
相手がどんな口調なのか、どのように表記するのか「ぼく」、「僕」か。大枠の編集方針があればそれに則っていれば問題ないですが、こちらも正解がない世界。自分なりに大いにこだわればいいと思っています。
写真をいれていきますね。はじめはどこに挿入すべきかまったく見当がつかないと思います。やっていきながらなのですが、枚数のバランスをみながら、喜怒哀楽などが出ている部分に、それにあった写真を入れると記事に現場感というか臨場感が増します。伝わりますか?
たとえば、「これによって人生が大逆転したんです!」という流れのところで、もしそのときに合った写真があれば入れると思います。どうしても文章だけですと、読み手の方の集中力も切れてきます。印象づけたいところでビジュアルがあると、読み応えがよりあるものになっていきます。
6.さいごに
編集を終えて体裁を整えました。対象者への確認だし、あとは公開という流れです。その前にオススメしているのは、いろんな人にみてもらって、指摘をもらうことです。とくに誤植は必ずあるものとしてとらえておきましょう。
赤字はもっと良くなる確実のステップです。活かさないという判断をしたとしても、そこが気になる読者がいる、というのはまぎれもない事実です。すこし辛口に言ってくれるひとほど親切です。大切にしましょう。
公開後、しっかりプロモーションをしましょう。いつ出すのかという点も重要になってきます。ビジネスなのか趣味なのかにもよりますが、せっかくならより多くの人にもらえる努力を個人でもしっかりしていきましょう。反響があると、これがうれしいもの。
インタビューサイトを通じてかんたんに「おしゃべりを残す」ことができます。ログを残すというのはネットのよいところです。そのときの会話を整えて、現場感を持った上で残り続けるわけです。その方の名前を検索すると、記事が出てくる。プロフィールがあって、取材の内容記事が世の中で閲覧される。
おもしろいと思います。ぜひ趣味としてもオススメです!
引き続きよろしくどうぞ!