DEPPA少年の日記

某テレビ局の会社員。27歳。「小説だからこそ本当のことを書ける」という小説家の言葉を参考に、あえて匿名でブログを書いています。28歳の誕生日までのカウントダウン方式を採用。

「みんないい人なの」っていう人、最強説

人を笑顔にさせてしまう天才といえばご存知、明石家さんま。

さんまさんである。彼の手にかかれば芸能人はおろか一般の人でもなんのその。「笑ってこらえて」にゲスト出演したさんまさんが、サプライズで地方の家を訪問し、地元の方とふれあう回がある。You Tubeにおそらくその動画がアップされている。堂々とおすすめすることはできないけれど、一見の価値があるのはたしか。

芸人がプロを相手にすれば、その場をおもしろく成立させることは、当然でしょう。そしてプロが一般の方を相手に笑わせるのも、不思議なことではありません。その上でさんまさんがすごいのは、一般の素人の方との絡みによって「一般の人が」おもしろくうつることなんです。

つまりさんまさんが一方的に笑わせているのではなく、さんまさんとやり取りをしていると、その素人の方も、とても魅力的にうつるんですね。素人の方からおもしろさを引き出すさんまさんの技量が尋常ではないんだろうな、そう思っていました。

ですが最近は、実はもっと根源的なところに答えがあるのではないかって考え始めています。といいますのも、おもしろく接していると、自分の鏡のように相手も「おもしろく」させてしまう効果もあるんだろうということです。

身近な話になりますが赤坂に素敵なカレー屋があります。牛かつカレーがウリのお店です。バーを間借りしたつくりでそんなに広くはなく、50~60代くらいの夫婦が切り盛りしています。旦那のマスターがカレーをつくる。

で、サーブしてくれる奥さんを、常連はみんなママって呼ぶ。ママは数回いけば名前やなにを注文するか覚えてくれて。スナックとかのそれに近いかもしれないけれど、親しみを込めてみんなママって呼んでいます。

そのママがある日こんなことを言っていて。「ここのお店にくるお客さんがみんないい人なんだよねえ」って。「そうなんですね~」といつも通りに返したけれど、ぼくはふと、そのときなぜかさんまさんのことを思い出した。

この店にいけばわかるのだけど、お店やご夫婦や距離の近い接客を体感するとママは相手を「いい人にならざるを得ない」状態にしてしまうんです。

たとえばお店が混んでいて、注文したカレーがなかなかこなかったとして。ママに「ごめんね、もうちょっとだけ待ってて」と言われたら、笑顔で「はーい」って言っちゃうんです。これ、本当に。

その空間に自分がいて、ママがいると、どんな人でもいいお客さんになってしまう。ぼくが思うのは、人の態度というものは他者という存在によって決まるのではないかっていうことです。

さんまさんに話を戻すと、一般の人はさんまさんという鏡というかフィルターを通したやりとりによって、その人も「おもしろく」なるんじゃないかって思います。つまり、自分と出会う人がいい人か悪い人っていうのは、極論でいえば出会う相手ではなく、自分自身が決めるということではないでしょうか。

つい自分と他者を分けて考えてしまうけれど、世の中をつくり出しているのはナラティブな意味では自分自身なのだなと。自分が世界をつくっているくらいの心持ちで、人とたのしくおもしろく接していれば、相手もそうなるし、自分が見える世界もそうなる。

漫画『ルーキーズ』の川藤先生が「信じてもらうためにまず自分が相手を信じる」と言っていましたが、「みんながいい人なんです」って言える人間になろう。


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