DEPPA少年の日記

某テレビ局の会社員。27歳。「小説だからこそ本当のことを書ける」という小説家の言葉を参考に、あえて匿名でブログを書いています。28歳の誕生日までのカウントダウン方式を採用。

「ぜんぶひろうから!」放送作家のかっこよさ

「ぜんぶひろうから!」

ある深夜に聞いたこの言葉は、ぼくにとって2017年今年度の「踊るヒット賞」。

今年の4月、売れっ子放送作家たちによる、こんなライブが開催された。「500円払うんで、 いっしょに企画会議しませんか?」。新宿ロフトプラスワンでのオールナイト企画、知り合いの若手放送作家に誘われて偶然にも行けたライブ。タイトルにある500円払うんでというのは本当。入場料金を払って開場に入るとき、案内のチラシとあわせて500円玉が入ったポチ袋を渡されるという粋な演出。

30代の売れっ子放送作家5人の雑談が始まり、各自が持ち寄った企画を話し始める。企画そのもので面白いものはもちろんあるのだけど、驚いたし、いいなと思ったのは、1人が出した企画案を5人全員で「ふくらませてみよっか」と言って、盛り上げてみる。角度をつけたり、すこしずらしたり。アイデアがどんどん出てくる。

だんだん会場が温まってきて、観客も参加しようという流れになる。ライブのタイトルにもある通りだ。一つの企画案が出る。「おもしろくするために何かアイデアがある人!」。ある女性が手を挙げた。「どうぞ!」。指名された女性は緊張してしまったのか、なかなか話しだせない。そこで放送作家の皆さんがこう言った。


「おれたち、なんでも、ぜんぶひろうから!」

さらっと言っていたので、会場にいた方にとっては特別なことではないかもしれません。でも、ぼくにとって本当に痺れました。女性も気が楽になったはず。「ああ、放送作家ってかっこいいなあと思っていたのは、こういうことだったのか」と、ストンと腹落ちした気がしました。

ぼくは放送作家に憧れていて、目指したいと学生時代考えたこともありました。今では同年代の放送作家と仲良くしていますが、やはり憧れの部分がある。どうしても関わりたく、若手の放送作家たちと芸人でライブのプロデュースも昨年させてもらいました。

natalie.mu

 

会話をしていて、たとえ相手の言ったことを知らなくても、「ひろうこと」ってできるんですよね。もちろんわかることがベストではあるけど、その内容を抽象化して、なんなら自分の知っていることに寄せてもいい。わからなくても理解しようとする気持が相手に伝わることが大事だと思うんです。

たとえばあくまで仮定の話ですが、建築の緻密さについて相手が熱く語っているとして。たとえそのこと自体についてはわからなくても自分に寄せて考えて「華道をやっていて、その美しさの秘密は、数学的な比率があることがわかったんです。これって建築にも通じることですかね」とか、話を広げることもできるはず。

どっちがいいと言われたら、ぼくはひろう側でありたいなと思います。


引き続き、よろしくどうぞ!